恐ろしい脚気

脚気は、江戸時代には「江戸患い」と呼ばれており、戦前でも多くみられた病気で、別名、亡国病とも呼ばれて恐れられていました。

最も患者数が多かった頃には、年間で2万5千人もの人が脚気で亡くなったと言われております。

こんなに恐ろしい病気にも拘わらず、長い間、原因が分からず、病原菌説や中毒説の他に、白米食説も唱えられており、ソバを食べると脚気になりにくいということも知られていました。

栄養学が進み、脚気の原因はビタミンB1の欠乏症であることが分かり、それ以降、発生は減少し、今では殆ど見られることはなくなりました。

脚気心不全と末梢神経障害をきたす疾患です。心不全によって下肢のむくみが、神経障害によって下肢のしびれが起きることから脚気と呼ばれています。

また、脚気は、心臓機能の低下・不全を併発する事から、脚気衝心とよばれることもあります。

ビタミンB1は糖質の代謝と、神経や心臓の正常な機能に必要不可欠な栄養素です。

末梢神経障害の多くは下肢に発症し、つま先に針で刺されているようなチクチクする痛みがあり、足に焼けるような感覚が生じます。

そして、夜間になると特に激しくなり、脚の筋肉の痛み、脱力感、萎縮がみられます。悪化すると腕にも広がります。

心臓の症状としては、心拍出力が増えて心拍数が増加し、血管が拡張して皮膚が温かく湿った感じになります。

心臓は高い拍出量を維持できないため、やがて心不全に至り、脚や肺に水が溜まります。その結果血圧が下がり、ショック死に至ることもあります。

関節痛の進行メカニズム