妊娠中の女性が一番悩むのは、インフルエンザの予防接種はOKなのか、それともNGなのかと言うことでしょう。
家の中でいくら気を付けていても、幼稚園や保育園に通っている兄弟などから、家庭の中にインフルエンザウイルスが持ち込まれるかもしれません。
インフルエンザのワクチンは、ごく弱く感染して免疫を作る「生ワクチン」とは異なり、病気を起こす力を取った死菌を使っている「不活化ワクチン」ですから、お腹の赤ちゃんがインフルエンザにかかる可能性はありません。
このため、国際的には、妊娠中のインフルエンザ予防接種は安全だと考えられており、米国においては、妊婦は老人・子どもと共に積極的に接種すべきとされています。
日本においても、妊婦さんがインフルエンザ予防接種を受けるケースが増えており、大きな副作用は出ておりません。妊娠16週以降であれば、予防接種も選択肢のひとつです。
特に、心臓病、ぜんそく、糖尿病などの病気を持っている妊婦さんは、インフルエンザが悪化しやすいので、接種を積極的に考えてよいかもしれません。
予防接種によって感染を防げる率は70~80%とかなり高くなっていますので、人混みの多いところには行かない、手洗いやうがいの励行と併せて接種すれば、さらに感染の可能性を減らせるでしょう。
予防接種の時期は、流行が始まる秋口がベストですが、流行中でも授乳中でも接種は可能です。免疫ができる日数は約2週間です。
できれば、赤ちゃんに接する家族全員が受けるのが理想です。
妊婦さんがインフルエンザにかかっても、高齢者ほど死亡率が高くはありませんし、抗ウイルス薬である「タミフル」を、発病から48時間以内に服用すれば大きな効果がありますから、かかってしまってから対処するのもひとつの手ではあります。
ただ、このタミフルは、1歳以下の子には使えませんし、微量ですが母乳中に出るため、授乳を一時的にやめたり、あるいは薬を飲まない自然治癒を選ぶ人もいます。